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深く残る彼女の言葉

私は、この仕事をする前、音楽教師をしていました。
その当時、すでに焼き物を仕事にすることを決めていましたから、
そのために、絵画の勉強をしたくて、上野スミオさんという画家に弟子入りしたのでした。

当時の同期、今でも勿論お付き合いがあります。
グループ展パンゲア。のリーダー藤田くんもそのひとり。
そして、さっちゃん、という女の子も大事な仲間です。

さっちゃんは、もう結婚して子どももいるのですが、
今も素敵な絵を描いている画家。

そんな彼女との会話の中で、すごく心に残った言葉があったのです。

「私、うまくいかない恋愛をしています。
いくつになっても上達しないね」

そんなことを言ったと思いますが、
そのとき、彼女が返してくれた言葉はこうでした。

「良い恋愛をされているんでしょうね。
個人的には、上手く恋愛ができるなら、恋愛すること自体、
意味が無いように思います。」

この言葉は、深く私の心に響きました。

うまくいかないから、相手のことを考えたり、
自分が変わろうとしてみたり、
そうこうしているうちに、人としての器が大きくなっていることに気がつきます。
キャパシティーが増えている、という感覚です。
小娘だった時代より、あきらかにいろんなことに対処できる、
対応能力、とでもいうようなものが、すごく高まっていく気がするのです。
勿論、別の人を好きになれば、そこで得たセオリーが
通用しないことだってあります。
だからそこでまた成長していく。

もうひとつ。心のふり幅が大きくなる。
これは、表現者として、最高の経験です。
自分の殻に閉じこもって、安全な毎日を送っていては絶対に手に入らない。

そして、これが一番大事なことかもしれませんが、
生きる糧となる。
うまくいこうがいくまいが、
自分が心から好きだ、と思える人がこの世に存在している。
これって、素敵なことだと思いませんか?
どんなに沢山の人と出会っても、そんな風に思える人と出会う機会、
そうそうあるとは思えません。

もし、恋心が生まれたら、ぜひ、死んでしまわないように、
相手に伝えてあげてください。
うまくいく、いかない、ではないように思います。(これは、私の思い人が教えてくれたことでもあります。)
恋心は、相手に伝われば、そこに種を残し、
何かを育ててくれるのです。そして、自分の心にも。

さっちゃんの言葉、あまりに素敵で、
時々思い出します。
うまくいかない恋愛が、突然光りだす魔法の言葉です。
深く残る彼女の言葉_f0143299_211292.jpg

by 93hossy | 2011-08-01 02:11 |

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